
ローマ時代の起源
ケルン(Köln)の歴史は、紀元前1世紀にローマ人がこの地に入植したことに始まります。紀元50年には「コロニア・クラウディア・アラ・アグリッピネンシウム」として都市特権を与えられ、以後「コロニア(Colonia)」がケルンの地名の由来となりました。
当時はライン川沿いの交易拠点として繁栄し、ローマ帝国北方の重要な防衛都市でもありました。
中世の繁栄
中世に入ると、ケルンは北ヨーロッパ最大級の商業都市として発展します。ライン川を通じてワインや布製品などの交易が盛んになり、13世紀には人口が約4万人を超え、ヨーロッパ有数の大都市となりました。
1248年にはケルン大聖堂の建設が始まり、町の象徴として姿を現すことになります。
ケルン大聖堂の物語
ケルン大聖堂(Kölner Dom)は、ドイツ・ゴシック建築の最高傑作 として知られる世界遺産です。
1248年に着工しましたが、資金難や戦乱により工事は中断され、完成までに実に632年を要しました。最終的に完成したのは1880年。高さ157メートルの双塔は、完成当時「世界一高い建築物」とされ、現在もドイツ観光の象徴です。
内部には「東方三博士の聖遺物」を納める黄金の厨子が安置され、巡礼地としても中世から多くの人々を惹きつけました。
近代と戦争
19世紀の工業化によりケルンは交通・経済の中心地として発展。鉄道網が整備され、ライン川とともにヨーロッパを結ぶ重要都市となります。
しかし第二次世界大戦では大規模な空襲を受け、市街地の大部分が破壊されました。それでも奇跡的に大聖堂は倒壊を免れ、瓦礫の中に立ち尽くす姿は「不屈の象徴」として人々の心に刻まれました。
現代のケルン
現在のケルンは、ドイツ第4の都市として文化と経済の拠点を担うと同時に、観光都市としても栄えています。
- ケルン大聖堂(世界遺産)
- ケルン・カーニバル(ドイツ三大カーニバルのひとつ)
- ライン川クルーズ
- クリスマスマーケット(大聖堂前を中心に複数会場)
といった多彩な魅力で世界中の旅行者を迎えています。
まとめ
ケルンは、
- ローマ時代から続く2000年の歴史
- 632年かけて完成した大聖堂という信仰と建築の象徴
- 戦争の破壊を乗り越えた復興の町
そのすべてが重なり合う「歴史と未来をつなぐ都市」です。
大聖堂を仰ぎながら歩くクリスマスマーケットは、まさにケルンの歴史と今を体感できる特別な時間といえるでしょう。
