ドイツ・ロマンティック街道の中でも最も人気のある町のひとつが、ローテンブルク・オプ・デア・タウバー(Rothenburg ob der Tauber)
中世の街並みが奇跡的に残され、まるで絵本の世界を歩いているような景観が広がります。ここでは、この町の歴史をたどってみましょう。

① 起源と初期の発展

ローテンブルクの歴史は、10世紀ごろに築かれた小さな集落に始まります。12世紀にはホーエンシュタウフェン家によって城が築かれ、町は防衛と交易の拠点として発展しました。タウバー川を見下ろす丘の上に広がる地形が、戦略的にも重要だったのです。


② 自由帝国都市としての黄金期

1274年、ローテンブルクは神聖ローマ帝国直轄の「自由帝国都市」となり、自治権を持ちます。
14世紀には人口約6,000人を数え、当時としては大都市。商業やワイン生産で栄え、今日でも残る市庁舎や木組みの家々の多くがこの時代に建てられました。


③ 戦乱と衰退

しかし、17世紀の三十年戦争で町は大きな打撃を受けます。1631年、カトリック軍に占領された際、市長ヌッシュが「3.25リットルのワインを一気飲みして町を救った」という伝説(マイスタートゥルンク)が残っています。

その後、度重なる戦乱と経済停滞でローテンブルクは衰退。町の発展は停滞しましたが、そのことが逆に「中世の姿をそのまま残す」結果につながりました。


④ 近代以降と保存運動

19世紀、ドイツのロマン主義の高まりとともに「中世の宝石箱」として再評価され、観光地として脚光を浴びます。
第二次世界大戦中には町の一部が破壊されましたが、戦後は市民や寄付による復興運動が進み、今日の姿に再建されました。


⑤ 現代のローテンブルク

現在のローテンブルクは、

  • 城壁に囲まれた旧市街
  • 石畳の小道と木組みの家々
  • 毎年開催されるクリスマスマーケット「ライターレスマルクト」

といった魅力を備え、世界中の観光客を惹きつけています。
また、年間を通してクリスマスの雰囲気を楽しめる「ケーテ・ウォールファルト」本店も人気スポット。まさに「時間が止まった町」として、訪れる人を中世へと誘います。


まとめ

ローテンブルクは、

  • 自由帝国都市として繁栄した歴史
  • 戦乱と衰退を経て守られた中世の町並み
  • 市民の努力によって保存された文化財

これらが融合する、ドイツを代表する歴史都市です。
城壁を歩きながら眺める街並みは、まさに「千年の時を越えた旅」そのもの。